H29年度「先進科学セミナーI」の講演・講義を終えて
掲載日:2018/3/1
先進科学セミナーIでは,学内外の一流の研究者・技術者・企業経営者によるオムニバス方式の講義・講演により,将来、社会(企業)で活躍する上で、理解し身に付けておくべき知識を学び、アカデミアと産業界を俯瞰する能力、さらにはこれら領域間での共創を主体的に実行し得る能力(論理的思考力/課題発掘・解決力等)の修得を目標としています。
今年度は,3名の学内講師,8名の学外講師の方による,研究開発戦略,研究マネージメント,知財戦略,研究倫理,イノベーション創出等について実例をもとにご講義を頂きました。
自然科学系教育研究機構 青合 利明特任教授
第1回 概論
○先進科学セミナーIの狙いと内容
○メガトレンドとイノベーション
-大学&企業の研究はどこに向かうのか?-
○大学研究の社会実装におけるジレンマ
第5回 研究開発戦略論④
○「企業の研究開発の現場で、今何が起こっているか?生き残りを賭けた企業の研究開発の戦略的考え方・取り組みを解説し、その中でアカデミアにおける基礎研究との相違を論じる。」
工学研究院 電気電子工学コース 伊藤 智義教授
第2回 研究開発戦略論 ①
○理論天文学と計算機科学
-10~20代で考えたこと、行動したこと-
第3回 研究開発戦略論 ②
○3次元映像とコンピュータ
-30~50代で考えたこと、変わったこと-
理学研究院 化学コース 加納 博文教授
第4回 研究開発戦略論 ③
○「大学の研究と国研の研究」
日立製作所 産業・水統括本部 CTO 都築 浩一氏
第6回 研究マネージメント
○研究を効果・効率的に推進し、研究成果を最大化する研究マネージメントについて事例を含め、基本的な考え方・方法論を学ぶ。
元富士フイルム 取締役 知財本部長 鈴木 俊昭氏
第7回 知財戦略①
○知的財産とは
○知的財産政策と経済・・歴史的視点
○近年の知的財産事情
第8回 知財戦略②
○知財戦略の事例
○まとめ
元キャノン 理事 河村 尚登氏
第9回 研究倫理①
○研究の不正防止に向けて
1.国内外で増加する不正行為
2.なぜ不正行為は増加したのか・研究現場の現状
3.研究者の倫理観
第10回 研究倫理②
○研究者の行動規範
1.研究者の特質と責任
2.研究者としての倫理観
3.研究者の行動規範
CYBERDYNE 研究開発責任者 品田 英俊氏
第11回 イノベーション創出①
○大企業とベンチャーのイノベーション
1.イノベーション概論
2.大企業のイノベーション
<富士フイルムでの研究開発>
3.ベンチャーのイノベーション
<サイバーダインでの研究開発>
4.イノベーションへの取り組み
5.課題
富士フイルム イノベーション・アーキテクト 中村 善貞氏
第12回 イノベーション創出②
○富士フイルムは2000年以降、デジタル化の荒波で主力の写真事業が消滅する中、写真のコア技術を活用した新規製品・事業への展開を多方面に進め成功を収めて来た。その代表例が化粧品事業である。富士フイルム化粧品事業を事例に、新規事業の創出・進め方について講義を行った。
元理化学研究所・統括役 井上 愛一郎氏
第13回 研究戦略(特別講演)
○「スーパーコンピュータ「京」の開発物語」
富士通でコンピュータの心臓部CPUの開発に従事され,2011年にスーパーコンピュータ「京」の開発責任者を務め、世界一のスーパーコンピュータ実現を主導した。(同開発で2013年に紫綬褒章受章)激しい開発競争が繰り広げられるスーパーコンピュータの世界に対し、「京」のコンセプト設計から開発の苦労話まで、素人にも判り易くスーパーコンピュータの開発ストーリーをお話し頂きました。
JSTプログラムオフィサー 浜田 恵美子氏
第14回 事業戦略(特別講演)
○如何にイノベーションを実現するかーCD-R/DVD-Rの開発を例に
・ CD-Rとは何か
・ CD-R,DVD-Rの開発から事業化/時間との付き合い方
・ マーケットとの付き合い方
・ 競合との付き合い方
・ イノベーションを実現する人と組織
・ 人生のイノベーション
日東電工株式会社 専務執行役員 表 利彦氏
第15回 事業戦略(特別講演)
○千葉大学工学研究科博士後期課程の先輩であり、エレクトロニクス/自動車関連/ヘルスケア/環境分野で業界を牽引するリーディングカンパニー「日東電工株式会社」の研究開発と事業戦略を永く統括されて来た経験から,これまでの研究開発・新規事業創出の苦労話から、研究開発に対する熱い想いをお話し頂きました。